万全の備えで節税を個人事業主といえば確定申告をするために、経費の領収書を期末に慌てて整理する、というイメージをもたれている人も多いでしょう。会社員と違って税務関係の提出書類を揃えなければならない点で、開業間もなしに頭を悩ませることになるかもしれません。しかし控除面で決定的なメリットがあるので、税務署へ期限内に開業届と青色申告承認申請書を提出することは重要です。
青色申告とは、個人事業主などが毎年行う確定申告の種類のことで、他に白色申告があります。そもそも事業所得や不動産所得などがあったとしても、年間の所得額から所得控除額を差し引いて、さらに残額がある場合に限り確定申告をします。また年間の給与所得が2,000万円を超える人や、給与等を1箇所から受けていて給与所得・退職所得以外の所得金額が20万円を超える場合や、あるいは給与等を2箇所以上から受けていて、主たる給与以外の給与収入と給与所得・退職所得以外の所得の合計金額が20万円を超える人は、確定申告が必要です。更に公的年金等の雑所得がある人(ただし、年間の公的年金等の収入が400万円以下であり、かつ公的年金以外の所得金額が20万円以下の場合を除きます)は確定申告をしなければなりません。
このうち青色申告とは、不動産所得、事業所得、山林所得のある人のうち、一定水準の記帳をして、その記帳に基づいて正しい申告をする人に限り所得税計算上、一定の有利な取扱を受けられるという制度です。まず青色申告特別控除といって、不動産所得又は事業所得を得られる事業を営む青色申告者が、一般的には複式簿記により記帳し、その記帳に基づき作成した貸借対照表を損益計算書と併せて確定申告書に添付して期限内に提出した場合、原則として1年間の所得に対し最高65万円の控除を受けられます。またそれ以外の青色申告者については、不動産所得、事業所得、山林所得を併せて最高10万円の控除を受けられます。
一方の白色申告とは、青色申告以外の申告方法ということになります。従来の白色申告であれば、年間所得が300万円以下の場合は記帳と帳簿書類の保存が義務付けられていなかったので、面倒な税務書類の整理をしなくて済むというメリットがありました。しかし平成26年1月以降、このメリットはなくなりました。すなわち白色申告であっても、不動産所得、事業所得、山林所得を生ずべき事業を行う者すべてに対し、記帳と帳簿書類の保存が義務付けられたのです。従って白色申告を敢えて選ぶ理由は無く、開業に際して事業用口座を用意することで入出金を明確にし、必要とあれば会計ソフトを使って乗り切る手もあります。青色申告者であっても白色申告を行うことはできるので、多少の面倒はあるもののまずは青色申告を目指して「青色申告承認申請書」と「開業届」を一緒に税務署へ提出しておくことです。
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税理士として、フリーランスや店舗経営など、個人事業主として奮闘している人たちをサポートしています。
何事もタイミングは重要です。タイミングの良し悪しが、最後まで尾を引き、結果に影響するということもあるのは事実です。タイミングが悪くて失敗したという経験を持つ人も少なくはないでしょう。個人事業主としての開業も、まさにこのタイミングが重要です。社会的地位の高い会社員のうちにしかできない準備も色々とあるものです。特に、資金に関しては入念な準備が必要です。個人事業主として独立するということは、会社を退職するということ。退職すると同時に社会的地位も月々の安定収入も手放すことになります。
個人事業主として事業をスタートするにあたっては、開業準備に様々な費用がかかるものです。Wwbサイトを立ち上げたりチラシを作るなどの宣伝広告費や印鑑作成費、文房具などの細かいものを含む各種備品代など、思っている以上に物入りになります。そしてこれらのものは開業前から準備する人が多いでしょう。個人事業を開業するために必要となるこれらの費用は、必要経費として認められるのかどうかについて説明します。結論から言えば、「開業費」という勘定科目でまとめて処理をすることになりますが、正確に言うと「経費」ではありません。
65万円の青色申告特別控除を受けられることが、青色申告を選ぶ最大のメリットです。しかし、この控除を受けるためには複式簿記という方式で帳簿を付け、各種帳簿を管理しなければならないという条件がつけられています。日々の取引を複式簿記に基づいて記帳し、現預金出納帳や総勘定元帳などの各種会計帳簿を作成、保管し、12月末を決算日として貸借対照表と損益計算書を作成します。経理知識がない人にとっては眩暈がするかもしれませんが、会計ソフトに日々の取引を入力すれば、自動的にこれらの帳簿は作成できます。